一般臨床医学Ⅰ:柔道整復師を目指す学生の国試・学内試験対策

一般臨床医学Ⅰ:資料

  1. < 医療面接 >
    • 問診の態度:信頼関係を保つ・プライバシーを守る・話易い場をつくる
    • 開放型質問:返答で患者が何でも言える
    • 閉鎖型質問:イエスかノーで答えるような形式
  2. 主訴とは、患者が訴える自覚症状の中でも、もっとも主要なものである。
  3. < 体格と体型 >
    • 巨人症:下垂体機能亢進症(大人になっても成長力が亢進)・末端肥大症・マルファン症候群(手足が長い)
    • 小人症(低身長症):下垂体機能低下症・骨軟骨異栄養症(軟骨無形成症)
  4. < 体位と姿勢 >
    • マン・ウェルニッケ姿勢:麻痺側の前腕が強く屈曲し、下肢が痙性となり、足が足底側に屈曲した姿勢をマン・ウェルニッケ姿勢と呼び、脳血管障害で見られる。分回し歩行。
    • 前かがみの姿勢:パーキンソン病
    • 脊柱側彎姿勢:坐骨神経痛・特発性側彎
    • 脊柱後彎姿勢:脊柱カリエス
    • 脊柱前彎姿勢:強直性脊椎炎
    • 後弓反張:破傷風・髄膜炎
    • エビ姿勢:胆石症・尿管結石(/ 腹痛?)
    • 起坐位(起座呼吸):気管支喘息・心不全
  5. < 栄養状態 >
    • BMI:体重[kg] ÷ 身長[m]2
      例(体重63kg・身長169cmの場合):63 ÷ 1.692 = 22.10 BMI = 22.1
    • BMI指数:18.5未満=「痩せ型」・18.5以上〜25未満=「標準体型」・25以上=「肥満」
    • 標準体重:身長[m]2 × 22
    • メタボリックシンドローム:ウエスト周囲径(男性:85cm以上・女性:90cm以上)+ 血清脂質異常 or 血圧高値 or 高血糖
      BMI指数:25以上
    • 症候性肥満:元の疾患がある肥満
      • クッシング症候群(中心性肥満・副腎皮質機能亢進症):満月様顔貌副腎皮質ホルモンが出すぎる
    • 単純性肥満(肥満全体に占める割合は低い):Ⅱ型糖尿病・高尿酸血症・高脂血症・カロリー摂取過剰
    • インスリノーマ:膵臓に生ずる分泌内分泌腫瘍。(ランゲルハンス島B細胞由来)低血糖症状及び肥満を呈する。
    • 悪液質:慢性消耗性疾患・予後不良の徴候である
    • 単純性やせ:食物不足やダイエット(病気ではない
    • 症候性やせ:精神的影響や消化器疾患の為に食事摂取不十分や吸収不良の場合
      • アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症):浮腫性肥満・体重減・低血圧・低血糖・無力症
        副腎皮質ホルモンが出にくくなる
      • バセドウ病(グレーブス病):甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に産生される)を起こす。著しいやせがみられる。
        眼球突出・頻脈・甲状腺肥大・振戦(手指振戦)・手の震え・発汗増加
      • 糖尿病:血糖値が下がらない病気。
        三大合併症:網膜症・腎症・末梢神経障害(ニューロパチー)
        • Ⅰ型糖尿病:分泌障害(先天性の内分泌低下症)。インスリン依存型糖尿病。
        • Ⅱ型糖尿病:抵抗性(後天性の代謝障害)。非インスリン依存型糖尿病。原因は食事・飲酒・妊娠・肥満など。
  6. < 意識状態 >
    • < JCS(Japan Coma Scale、ジャパン・コーマ・スケール) > (0:意識清明)
      1. 覚醒している(1桁の点数で表現)
        • 1:見当識は保たれているが意識清明ではない(意識清明とは言えない)
        • 2:見当識障害がある
        • 3:自分の名前・生年月日が言えない
      2. 刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁の点数で表現)
        • 10:普通の呼びかけで(容易に)開眼する
        • 20:大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する
        • 30:痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続ける(繰り返す)と辛うじて開眼する
      3. 刺激しても覚醒しない(3桁の点数で表現)
        • 100:痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
        • 200:痛み刺激で(少し)手足を動かしたり、顔をしかめたりする
        • 300:痛み刺激に対し全く反応しない
    • < 意識障害の程度 >
      • 無欲状態:意識はあるが、周囲に感心を示さない。
      • 傾眠:うとうと、軽い刺激に反応する。
      • 昏迷:強い痛み刺激に反応する。
      • 昏睡:いかなる刺激にも反応しない。
      • 失神:一過性、短期間の意識障害。
      • せん妄:外からの刺激には反応せず、不安、興奮状態になり、意味不明の言動、行動をする。(田酔状態である)
  7. < 知能 >
    • 知能障害
    • 痴呆
  8. < 感情状態 >
    • 不安状態
    • 抑うつ状態
    • 躁状態:ポジティブな状態
    • 多幸症
  9. < 異常運動 >
    • 不随意運動
      • 痙攣:てんかん・熱性痙攣・破傷風・テタニー
      • 振戦:多発性硬化症・ウイルソン病・肝硬変・パーキンソン病(安静時振戦)・バセドウ病(手指振戦)・脊髄小脳変性症(企図振戦)・肝臓障害(羽ばたき振戦)
      • 舞踏病様運動:ハンチントン舞踏病・小舞踏病
      • アテトーゼ様運動:脳炎小児麻痺・脳性麻痺など
      • チック:神経症・脳疾患など
      • ミオクローヌス:脳炎
        突発性に一部の筋肉が素速く収縮する。
    • 麻痺
      • 中枢性麻痺:脳血管障害・筋萎縮性側索硬化症・仮性球麻痺
      • 末梢性麻痺:神経損傷・ギラン・バレー症候群・球麻痺
    • 運動失調
      • 脊髄性(脊髄癆)
      • 小脳性(小脳腫瘍)
      • 前庭性:メニエール病
  10. < 歩行 >
    • 分回し歩行(片麻痺歩行):脳血管障害
    • はさみ状歩行:脳性小児麻痺
    • 鶏歩(麻痺性歩行):前脛骨筋麻痺
    • トレンデレンブルグ歩行:中殿筋麻痺・先天性股関節脱臼
      ※患側の下肢で起立した時に、健側の骨盤が下がって沈むのをトレンデレンブルグ現象と言う
    • 間欠性跛行:バージャー病・腰部脊柱管狭窄症・閉塞性動脈硬化症
      ※下肢の動脈硬化症による循環障害や脊柱管狭窄症の際に現れる歩行障害で、歩行中に歩けなくなる
    • 突進歩行:パーキンソン病
    • アヒル歩行:進行性筋ジストロフィー
    • 随意性跛行:ペルテス病・小児股関節結核
    • 失調性歩行:小脳性・脊髄性
    • 小歩症:パーキンソン病
  11. < 皮膚の状態 >
    • 皮膚の色調の変化と代表的な疾患
      • 蒼白:貧血・レイノー(レーノー)現象・ショック
      • チアノーゼファロー四徴症・心不全・心臓弁膜症・肺疾患・気管支喘息
        還元ヘモグロビンは異常ヘモグロビンが増加すると、皮膚や粘膜の色が青紫色になる。
      • 黄疸:溶血性貧血・肝炎・肝癌・肝硬変・胆石症
      • 紫斑:紫斑病・再生不良性貧血・血友病・骨髄腫・白血病
        発疹の中で、皮膚組織内の出血。
      • 紅斑:肝硬変・全身性エリテマトーデス
    • 皮膚の性状の変化と代表的な疾患
      • 浮腫:腎不全・心不全・肝硬変・クインケ浮腫
        皮下組織に水分が過剰にたまった状態。
      • 水疱疹:帯状疱疹・単純性疱疹
      • 結節:感染性心内膜炎・変形性関節症
      • くも状血管腫:肝硬変
      • 潰瘍:ベーチェット病・褥瘡(じょくそう)
    • 爪の異常
      • スプーン状爪:鉄欠乏性貧血
      • (太鼓)ばち指肺気腫・先天性心疾患・肺炎
        末節が太鼓のばちのように腫大、爪が前後左右からみて凸上になる。(盛り上がり)
  12. < 生命徴候(バイタルサイン) >
    • 体温
      • 測定部位:体温計を用いて腋窩・口腔内・直腸内で測定
      • 正常体温と生理的変動
      • 典型的な熱型と代表的な疾患
        • 稽留熱:髄膜炎・肺炎
        • 弛張熱:敗血症・肝膿症
        • 間欠熱
        • 波状熱:ホジキン病(リンパ腫が一般的)
        • 周期的発熱:マラリア
      • 微熱の持続:バセドウ病・貧血・結核
      • 低体温
    • 血圧(通常は「動脈血圧」):血圧測定の方法には「直接法」「間接法」があり、間接法の中で「触診法」「聴診法」がある
      • 最高血圧(収縮期血圧):血管内圧は心臓が収縮時に最高になる
      • 最低血圧(拡張期血圧):血管内圧は心臓の拡張期に最低になる
      • 触診法では収縮期血圧(最高血圧値)のみ測定できる
      • 触診法では橈骨動脈を用いる(肘窩上腕動脈で測る場合もあるらしい)
      • 触診法は聴診法に比べ誤差が生じやすく、聴診法で測る血圧より低く(4〜5mmHg)測定される(と言われている)
      • 聴診法では肘窩部上腕動脈を聴診する
      • 圧迫帯(マンシェット)を上腕に巻き、動脈の拍動を触れながら加圧していく
      • WHOの血圧基準:140・90 以上高血圧
    • 脈拍
      • 検脈部位橈骨動脈(通常測定部位)・上腕動脈・膝窩動脈・大腿動脈・足背動脈
      • 脈状の種類と代表的な疾患
        • 頻脈バセドウ病(甲状腺機能亢進症)・貧血
          成人は脈拍数毎分100以上
        • 徐脈脳圧亢進スポーツ心臓迷走神経反射アダムス・ストークス症候群
          成人は脈拍数毎分60以下
          ★毎分40以下の徐脈の場合、心臓房室ブロックによることが多い → 極端な場合、脳虚血状態となり痙攣や失神発作を起こす → アダムス・ストークス症候群:ペースメーカー治療が必要
        • 速脈大動脈弁閉鎖不全症
        • 遅脈大動脈弁狭窄症
        • 大脈大動脈弁閉鎖不全症
        • 小脈大動脈弁狭窄症
        • 交互脈心筋梗塞心筋炎
    • 呼吸
      • チェーン・ストークス呼吸(交代性無呼吸)
        呼吸期と無呼吸期が交互に繰り返される。一回換気量がしだいに増加し、次いで、しだいに一回換気量が減少する呼吸が繰り返される状態。
        重症心不全・脳出血・脳梗塞・重度の腎臓疾患・中毒(モルヒネ、薬物、アルコールなど)・動脈血循環の不良・低酸素血症・うっ血(鬱血)性心不全・肺炎・全身麻酔・麻酔が深い時・乏血・失神・瀕死時・髄膜炎・頭蓋内圧亢進
      • クスマウル呼吸
        異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態。吸気は深く、呼気が緩慢。(運動時にも同様の呼吸がみられることがある)
        糖尿病性ケトアシドーシス(糖尿病)・腎不全に伴う尿毒症・昏睡時
      • 起座呼吸
        気管支喘息・うっ血(鬱血)性心不全
      • 過換気呼吸
        代謝の要求以上に換気すること。
        精神的な不安による過呼吸。(心身症の一つ)
      • ビオー呼吸
        無換気状態から急に深大な呼吸を開始して換気状態になる呼吸の状態。(チェーン・ストークス呼吸とは異なり一過性である)
        脳圧亢進症・髄膜炎
  13. < 病的反射:下肢 > (語呂合わせ:オッチャンゴゴメンバーシロクロ?)
    • オッペンハイム反射:脛骨を上から下にこすると母指が背屈する
    • チャドック反射:足背外側や外果をこすると、足の母指伸展(底屈)(開扇現象)が起こる(バビンスキー反射と同様の現象)
    • ゴードン反射:筋腹をつかむと母趾が背屈する
    • ゴンダ反射:母趾以外、特に第4趾を強く屈曲させ、急に放すと母趾の背屈
    • メンデルベヒテレフ反射:足趾の付け根付近を叩打、第2~4趾が足底へ屈曲
    • バビンスキー反射:足底(の外側)を(踵の方から足指へ向けて)擦過すると、足の母指伸展(底屈)(開扇現象)が起こる
    • ジェーファー反射:アキレス腱をつまむと母趾が底屈
    • ロッソリモ反射:足趾の付け根の部分を叩打、全足趾が足底へ屈曲
    • 足クローヌス:足の他動的背屈-腓腹筋の間代(背底屈を繰り返す
    • 膝クローヌス:膝蓋骨を衝動的に下方へ動かす大腿四頭筋の間代(膝蓋骨の上下運動を繰り返す
    < 病的反射:上肢 > (語呂合わせ:ホんトにワルい上肢の病)
    • ホフマン反射:中指末節を屈曲して急に背側に放す手指(特に母指)の屈曲
    • トレムナー反射:中指末節を背側に向かって弾く手指(特に母指)の屈曲
    • ワルテンベルグ反射:母指を弾く4本の指の腹側に検者の指をおき、叩打する手指(特に母指)の屈曲
  14. < 腹水の所見 >
    • 腹部打診上濁音
    • 腹部触診上波動
    • 視診上腹部膨隆
    • 問診上「ベルトのサイズが大きくなった」
  15. < 打診 >
    • 肝臓:濁音
    • 心臓:濁音
    • 肺野:鼓音?
    • 大腿部:濁音
    • 上腕部:濁音
  16. < 各疾患や現象などに関して >
    • パーキンソン病
      • 4大徴候:ふるえ・筋肉のこわばり・動作が遅くなる・姿勢保持困難
      • 安静時振戦
      • 頭前屈
      • 独特の前かがみの姿勢
      • 肘関節を曲げている(回内位固定)
      • 仮面様顔貌
      • 突進歩行
    • ファロー四徴症:4つの特徴を持つ「心臓の奇形」。チアノーゼ性心疾患。
      • 肺動脈狭窄(漏斗部狭窄)
      • 右心肥大
      • 大動脈騎乗(大動脈が右のほうに寄って、左心室と右心室の両方にまたがってついている)
      • 心室中隔欠損
      ※「ハイヨー!」と牛に乗っかり寝室に(ハイ:肺動脈狭窄・うし:右心肥大・乗る:騎乗=大動脈騎乗・寝室:心室中隔欠損)
    • コプリック斑:麻疹(はしか)のとき、発病後2、3日して、ほおの内側にできる粟粒大の白色(青白色)の水疱。(隆起した小さな斑点とその周囲の小紅暈(しょうこううん))
    • ヒポクラテス顔貌:消耗性疾患によって死期が近い場合、表情が乏しく、眼窩がくぼんで鈍く頬がくぼんで鼻が尖る。
    • バレー徴候(Bare′s sign):目をつむり上肢を手掌上にして水平を保つようにすると、麻痺側が回内し徐々に落ちる(下がる)。
    • レイノー(レーノー)現象:寒冷に晒された際に、四肢末端の皮膚が蒼白になり、回復すると逆に充血と発赤が起きる。
    • ベル現象:末梢性顔面神経麻痺
    • うっ血(鬱血)性心不全:起坐位
    • ベーチェット病:自己免疫疾患の一つ。外陰部に潰瘍が出現する。
    • 大動脈弁狭窄症:遅脈
    • 破傷風:痙攣
    • テタニー:カルシウム低下時に痙攣が起こる。

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